「お尻の痛みはコントロールできてきましたね。
排便のコントロールについてはこれ以上できることはありません。
だから、退院することを考えましょう。」
緩和ケアチームの看護師さんがそう言ったのは、
入院して3週間をすぎたあたりだったろうか。
一瞬、思考が止まった。頭の中が空白になった。
入院中、いくつかの薬を試しては効果を観察し、
私に合う組み合わせと服用パターンが見えてきた。
肛門の痛みを感じずにすむ時間が増えてきたし、
食事後に痛みが増しても、頓服薬で軽減することもできるようになった。
体のだるさもなくなってきて、
抗がん剤を点滴しながらエアロバイクを漕げるぐらい元気になった。
でも、排便のコントロールはできないままだった。
便意が来たら即排便という状況は変わっていない。
特に食事をして腸が動くと直後にすぐ排便してしまう。
私の望みは友達と外食をすること。
でも、そんな状況じゃ、外食なんてできない。
私も、友達も、お店も、誰もハッピーじゃない。
お尻の痛みはましになったけど、
いつになったら排便のコントロールができるようになるんだろう。
そのあたりの治療はいつから始まるのかな。
いつまで入院していたらいいのかな。
そう思っていた矢先の「排便コントロールの治療はできない」宣言だった。
この続きは、月会費770円のオンラインサロンにご登録の方のみご覧いただけます。
新規登録、もしくはログインしてください。